
東北から新潟・茨城へと広域物流ネットワークを構築する株式会社B・I。運送から倉庫業務まで、また常温から冷凍まで一貫したサービスを提供し、品質重視の姿勢で顧客から厚い信頼を得ています。労働環境の底上げという大きなテーマのもと、積極的に展開してきたIT化などによる業務効率化が、それを支えます。2034年に売上高100億円を達成することを目標に掲げながらも、大前提となるのは「安全」、そして「メンバー(社員)の幸福度」。全メンバーとのコミュニケーションを大切にする代表取締役の二階堂孝宏氏は、会社の成長とメンバーの幸せを両立させながら、自社のみならず業界の未来も見据えています。
INDEX
創業は1975年、私の祖父がトラック1台で特定貨物自動車運送を手掛けたのが始まりです。食品卸売業者と専属契約を結び、商品を配送する事業でした。そこから20年後、一般貨物自動車運送へと転換し、複数の荷主様の商品も取り扱うようになりました。下請け的な位置づけを脱却し、契約内容や配送ルートを柔軟に組み立てるなど、市場ニーズを迅速に読み取って持続的に成長できる企業を目指したのです。
当初から得意としてきた食料品は、祖業である運送にしてもその後取り組んできた倉庫業務にしても、徹底した日付管理と丁寧な荷扱いが求められます。私たちはその基本を愚直に守り続け、荷主様からの信頼を積み重ねてきました。その結果、荷主様から弊社の仕事ぶりを認めていただき、新たな引き合いが増加して、出荷から配送までを担う総合一貫物流企業としての「B・I品質」をつくりあげてきました。おかげさまで14期連続増収となり、直近の年間売上は46億円を達成しました。2023年に完成した本社・「仙台MLC(メインロジスティクスセンター)」を中心に、東北各県と新潟県、茨城県まで21営業拠点の広域物流ネットワークを築き、常温からチルド、冷凍と各温度帯のトラック200台を毎日運行しています。
創業者が掲げた理念は「堅実経営」、父である現会長は「現場力・財務力」。そして4代目の私は「実直物流」を基本理念に、お客様のニーズに応える改善策を提案し、実直に実行することで、皆さんの生活を支える物流を追求しています。私たちの最大のセールスポイントは「人質」、文字どおり「人の質」です。人の質が「安全」と結びついて初めて高い品質となります。そのため、安全に関するルールやマニュアルを細部まで設計し、ドライバーから倉庫業務メンバー、管理部門に至るまで、全社あげて徹底する仕組みを整えています。




事業の柱は、一般貨物運送・倉庫業・共同配送業の3本です。倉庫部門では商品管理だけでなく、棚卸業務なども担い、精度の高いオペレーションを実現しています。なかでも注目すべきは共同配送。複数の荷主様の荷物を一つの目的地にまとめて納品する仕組みで、弊社はそのセンター機能を担う運営会社として、荷物を集約し、納品先ごとに仕分けして大型チェーンの各店舗へ配送します。複数企業が仕分けと輸送のリソースを共同利用することで、各社で個別にトラックを手配するよりもコストが抑えられ、同時に納品先も業務効率化を図ることができます。近年、業界で注目されているこの業態に積極的に取り組んでいます。
最近では、日用品や医療雑貨の大手メーカーからの引き合いが増えています。料金よりも品質の高さを重視する企業が増える中、弊社はある大手メーカーが独自に設ける物流関連の評価制度において長年にわたり全国最優秀評価を獲得してきました。商品破損率や事故率、棚卸の正確性など厳しい基準をクリアしての評価です。ちなみに、百台率(車両100台に対しての車両事故の割合)、万件率(配送件数10000件に対しての誤配等のトラブル率)が評価対象となっており、万件率に関しては2025年は当社は80000件に対して1件の割合でした。これは誇りであり、現場のモチベーションを高める大きな力になっています。

物流は、人の力に大きく依存する労働集約型産業です。だからこそ、まずは労働環境の底上げでメンバーのモチベーションを高めることが不可欠です。しかし、ここには大きな課題があります。それは、高齢者の就業機会の確保です。国の施策(※)に沿って企業努力をすべきだと理解しているものの、ドライバーという仕事の身体的負担を考慮すると、70歳で現場作業を続けるのは現実的ではありません。かといって、全員を管理部門に配置するわけにもいかない。「B・Iで働き続けたい」というメンバーの思いに応えたい。そこで、私たちが描くのは、「セカンドステージ」としてのまったく異なる業種の提示です。一般的にはセカンドキャリアと呼ばれるものですが、弊社の現場作業で培った経験とスキルがあれば、異業種への挑戦も十分に可能です。それを弊社ならではの新たな事業領域として育て、次の柱にしていきたいと考えています。
また、業界全体ではドライバー不足や長時間労働に関する「2024年問題」をきっかけに、環境改善と物流の効率化を目指す「ホワイト物流」への転換が進んでいます。弊社はここ10年でIT化を進め、アナログ業務を改善すると同時に、現場営業所の負担を軽減して本社業務への集約化に努めてきました。しかし、ホワイト物流への転換は社内改革だけでは解決できません。荷主企業やその先のお客さまに改善の要望を届け、DXを推進することが肝要です。新たにこの業界に挑戦しようという方の希望をそがないよう、変革すべきは変革する。それが人財の定着率アップの鍵にもなるだろうと考えています。
(※)高年齢者雇用安定法において、65歳から70歳までの就業機会を確保することが事業主の努力義務となっている。


燃料コストの高騰など、物流業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。しかし、厳しいのは全業種・全業態に共通すること。だからこそ、いま必要なのは知恵と工夫、そして攻めの姿勢です。目標である2034年の売上100億円を実現するには確かな成長戦略が不可欠です。そんなとき仙台市地域中核企業輩出集中支援事業のお話を聞いて「これだ!」と直感しました。自ら能動的な姿勢を示さなければという緊張感もありますが、とにかく結果を残すために、今まさに挑戦を続けています。
伴走支援に期待するのは、第一に、利益を最大化し、売上増を実現するための的確な助言です。既存データを活用して車両ごとの実車率、稼働率を細分化するなど、いわゆる「もったいない」部分を可視化し、営業戦略を検討・策定していきたいと考えています。
第二に、経営層・幹部層の育成です。人財が不足しては売上増を望めません。自社の魅力をアピールした採用強化策は効果を上げていますが、採用後のキャリアアップには課題が山積しています。幹部向けの研修制度も整えていきます。
そして3つ目がM&Aの計画策定と実行支援です。以前はM&Aや事業の多角化にさほど関心が持てなかったのですが、仙台市の集中支援先企業となったことで視野が広がり、守りから攻めへと意識の転換が明確になりました。外部からの刺激による新たな気づきを待つのではなく、私自身が能動的、具体的に相談し、売上と人財の獲得をうまく連動させていきたいと考えています。

売上を上げることは目的ではなく、あくまで手段です。重要なのは、売上増によって弊社のメンバー一人ひとりの幸福度がさらに向上し、取引先に対する可能性も広がること。事実、営業規模が大きくなったことで、ものごとをより「安全」に特化して考える余裕が生まれました。社内に安全推進室を設け、微細な事故でも徹底的に要因を分析。議論を重ね、全営業所にその結果を周知展開することを義務付けています。
また、私は年2回、全営業所を定例巡回して全メンバーに会社の業績や方向性を伝えています。そして、メンバーからは会社への要望や課題についても話してもらいます。率直な意見に驚き戸惑うこともありますが、これはかけがえのない時間です。直近の巡回では、「100億円をめざす理由」と「目指すうえでの最優先事項」を伝えました。
「理由」はB・Ⅰの企業価値を高めるため。
「最優先事項」はもちろん在籍するメンバーの幸福度をあげること。
売上増のために効率優先で現場が疲弊し、安全性が損なわれては本末転倒です。誰かの犠牲の常態化の上に成り立つ仕事など本当の仕事ではないのです。こうした理念がメンバー一人ひとりに浸透することが、100億円企業への第一歩だと思っています。

株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長 兼 よなよなエール“愛の伝道師” 井手 直行(ニックネーム:てんちょ)
製造業 人材 職場環境の整備
2026.01.29
企業情報
株式会社B・I
| 業種 | その他の業種
|
|---|---|
| 住所 | 仙台市宮城野区扇町3-1-1 |
| TEL | 022-232-7329(代) |
| HP |
キーワード: その他の業種 令和7年度支援先企業 事業拡大 職場環境の整備
株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長 兼 よなよなエール“愛の伝道師” 井手 直行(ニックネーム:てんちょ)
製造業 人材 職場環境の整備
2026.01.29