SENDAI CORE COMPANY ~仙台市 地域中核企業~

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HOMEARTICLE株式会社山一地所 代表取締役社長 渡部洋平 総務部総務課 佐藤浩一

地域貢献 ダイバーシティ経営 職場環境の整備 2025.05.13

社員の主体性が魅力的な職場環境をつくる

株式会社山一地所 代表取締役社長 渡部洋平 総務部総務課 佐藤浩一

不動産業・建設業

仙台「四方よし」優秀賞

仙台市泉区に本社を置き、地域と人に寄り添った不動産事業を展開する株式会社山一地所。2025年に創業50周年を迎えた同社は、「地域に必要とされる会社であり続ける」という初代からの理念を継承しつつ、社員自らが魅力的な職場環境に向けた改革に取り組んでいます。2024年度仙台「四方よし」企業表彰では、長年続けてきた地域貢献活動や、トップダウンとボトムアップの両輪で実現した職場環境づくりが評価され、優秀賞に輝きました。今回は、渡部社長とともに、最終審査会でプレゼンを担当した総務部の佐藤さんにも社員代表としてお話を伺います。

全社の結束力がもたらした受賞

―仙台「四方よし」企業表彰では、地域貢献活動や働き方改革の取り組みに加え、社員の主体的な行動も受賞につながりました。結果を受けてのお気持ちをお聞かせください。

渡部社長/今回の仙台「四方よし」企業表彰では、創業50周年を迎えた当社の地道な活動を知っていただきたいという思いがありましたし、平成30年度に応募した際は受賞に至らなかったため、再チャレンジしようと考えました。当社には、自分の意見をしっかりと主張し実行できる社員がいます。社員一人一人が主体性を持ちチーム力で事業を行う会社であることが伝わり、非常にうれしいです。私たちの取り組みは独創的なものではなく、誰もが実践可能な内容です。だからこそ、受賞を機に他社にも影響が広がることを期待しています。

佐藤さん/この賞は、これまで当社の歴史を紡いでくれた全ての社員、関係先、お客様のおかげで獲得できたので、感謝の気持ちでいっぱいです。最終審査会場にいらした方々からの応援メッセージを見ても、今回のポイントだった「継続性」と「主体性」が伝わったと感じ、うれしく思います。また、自分たちの活動が地域活性化につながっていると改めて実感する機会にもなりました。

今回の優秀賞受賞は「奇をてらった取り組みをしたわけではなく、地域貢献や働き方改革を地道に続けてきた成果」と渡部社長。

―最終審査会では、社員である佐藤さんがプレゼンを担当されたことがとても印象的でしたね。

渡部社長/大勢の方を目の前に社員代表としてプレゼンを行う機会はめったにありません。今回の選考に係る取りまとめ、資料作成は佐藤を中心に社員が主体的に行っていましたので、公開プレゼンという貴重な経験も社員自ら体験してほしいと思いました。熱心に取り組んでいる様子を見て、安心して任せることができました。

佐藤さん/大役に指名してもらったことを光栄に感じ、精一杯やりたいと思いました。もちろんプレッシャーもありましたが、自分の成長につながるいい経験だったと感じています。また、周りの社員が快くプレゼン練習に付き合ってくれたこともあり、受賞できてほっとしています。

「社長の代わりにプレゼンする役を任せてもらえて光栄だった。自社の取り組みに自信をもっていたので、それが伝わって安堵した」と佐藤さん。

日頃から地域への恩返しを

―社会課題の解決に向けた活動の一つに、地域の伝統や文化の継承を目的とした祭事、イベントへの積極的な参加がありますが、参加されたきっかけについて教えてください。

渡部社長/創業者である父は福島県の出身でしたので、旧泉市(現在の仙台市泉区)にゆかりはなかったのですが、地域の人たちが丁寧に話を聞いてくれたことですぐに溶け込むことができました。その恩返しとして、地域住民からの依頼にはできるだけお応えしようと父の代から行動してきたんです。不動産業なので地権者の方ともお付き合いが深く、その流れから担い手不足の課題を抱える神社の祭りなどに参加するようになりました。

―地域の祭事に参加をすることで、どのような影響がありましたか。

渡部社長/地域での祭事には土地所有者や賃貸物件のオーナーなども参加されるため、社員とお客様のコミュニケーションの場になっています。また、社員同士の交流も図れるので、年齢や部署をまたいだ交流が生まれ、その後の業務にもいい影響があると感じています。

佐藤さん/私も入社2~3ヶ月の頃、まだ社員の顔もよくわからない時期に参加しましたが、いろんな人と話すきっかけになりました。職場では見られない社員の素の顔が見られますし、一緒におみこしを担ぐと絆が深まります。強制参加ではありませんが、私は参加して良かったと思っています。

―地域住民と行政の財産を守るため、社員を講師とした不動産相続セミナーも開催していますね。

渡部社長/2015年に相続税の基礎控除が引き下げられるとのことでしたので、不動産の所有者に与える影響も大きいと考え、2013年から相続サポートセンターに加盟し勉強してきました。相続税に対するお客様の関心も高まってきたこともあり、相続支援コンサルタントの資格を持つ社員が基礎知識をお伝えする無料セミナーを開講したんです。質疑応答ができるよう1講座15~20名の規模ではじめ、知識の定着を考えて6回シリーズで行いました。お客様にとっては、専門家に相談するよりも、すでに関係性のある私たちの方が質問もしやすく安心感もあります。社員にとっても、アウトプットすることで自己成長につながります。このセミナーは今も継続しており、これまでの開催回数は延べ250回以上、参加人数は3,000人以上にもなっています。

社員自らが働きやすさを追求した新社屋

―2024年10月には新社屋が竣工しましたが、その経緯を教えてください。

渡部社長/私が入社した2006年当時は34名だった社員も、会社の成長とともに増え、現在は約170名になりました。2階建てだった元の本社に加え、周辺にオフィスの借り増しを続けていましたが、場所が分かれることでコミュニケーションが取りにくくなり、セクショナリズムが強くなってきたんです。当社は不動産のトータルコーディネート企業ですから、社内の連携が不可欠です。当社の「人」という資源を最大限活用し、さらなる成長を目指すため、50周年の節目に新社屋を建設しオフィスを集約することにしました。

―社員にとって働きやすい職場にしようと、アンケートやワークショップも開催したと伺いました。

渡部社長/「社員が働きに来たくなるオフィス」をコンセプトに、準備委員会を立ち上げ、社員自ら意見を取りまとめました。建物を新しくするだけではなく、より社内の風通しを良くするために役職呼びを辞め、全社員を対象としてオフィスカジュアルを可能にしました。すべて社員の意見を反映した結果です。

佐藤さん/新社屋の象徴となるのがカフェスペースです。社員がお昼休憩などに利用するほか、就業後の社員交流の場としても使われています。静かに読書などができる席もあって、社員の要望がふんだんに盛り込まれています。

―新社屋に向けて立ち上げられた「ミニマリストプロジェクト」や「グリーンプロジェクト」はどのようなものですか。

渡部社長/ミニマリストプロジェクトは私の肝いりの一つでした。もともとオフィスに物が多く、これらが本当に必要なのか疑問に思っていたんです。防災面でも危険性を感じていたので、建替えのタイミングで外部専門家の力を借りて整理しようと提案しました。
印象的だったのが、「物にはそれぞれ使い道があるのに、本来の意図で活用されていないのはかわいそうだ」という専門家の言葉です。ただ保管しておくのではなく、活躍の場を与えるため、リユースできるものは必要なところに送り出しました。

佐藤さん/グリーンプロジェクトは、新社屋の竣工でお祝い花をいただく代わりに、協賛を募って植栽演出を施した取り組みです。お祝い花もうれしいのですが、その時だけのものになってしまうのはもったいないなと。観葉植物なら自分たちで管理して長く鑑賞できる上、グリーンは生産性向上の効果があるのでオフィスや店舗にも飾っています。
また、ミニマリストプロジェクトで大量に出た古紙は、100%再生紙製のシードペーパーにリサイクルするなど、SDGsにつながる取り組みになりました。
どちらのプロジェクトも継続して活動中です。

―さまざまな意見、プロジェクトをもとに完成した新社屋ですが、社員の皆様の働き方に変化はありましたか。

佐藤さん/意思決定の速度が上がりました。以前はSNSやメール、チャットなどITツールを活用したコミュニケーションが多かったのですが、濃密なコミュニケーションはface to faceがあってこそです。直接の会話でしか伝わらないニュアンスや、対面だからこそ生まれるイノベーティブなアイデアもあるので、これからはよりチームワークが発揮できる会社になると思います。

オフィスはフロア全体が見渡せるよう家具選びや配置を工夫。誰がどこにいるかが一目でわかり、コミュニケーションが活発になったそう。モノの整理も徹底したことで業務改善につながった。
アパマンショップ泉中央店の内装も木目調でリラックスできる雰囲気に。
小さなお子様連れでも安心のキッズスペースや小上がり席など、お客様のスタイルに寄り添った内装に。

ボトムアップで社員の意見を上層部へ

―仙台「四方よし」企業表彰では、ボトムアップによる意思決定の仕組みが機能している点も注目を集めました。会社の進め方として、トップダウンとボトムアップはどのようなバランスで成り立っていますか。

渡部社長/社員が自分たちで居場所をつくり、仕事をつくることを理想としているため、ボトムアップの比重が大きいと思います。会社の方針決定はトップが行いますが、それを受けての戦略決定は上層部が、実行するための戦術や手法は社員が考えています。部署や年代をシャッフルした全社員参加型のワークショップを取り入れる等、気兼ねなく意見を出すことができる環境作りを心掛けています。

佐藤さん/私は安全衛生委員会で活動しているのですが、定期的に職場巡視を行って現場から上がる意見についてメンバーで話し合っています。必要に応じて議長が役員会に上げ、スピード感を持って承認、実行している点も特徴的です。実行力があるので現場からも多くの意見が上がり、職場環境の向上につながっています。

ガラス張りの社長室。「社長が在席か不在かが一目でわかるし、相談にも行きやすくなった」と社員から好評。

外国人採用で、ダイバーシティ経営をさらに前へ

―今年から台湾出身の方を採用したそうですが、採用に至った経緯と、外国人社員に期待することを教えてください。

渡部社長/仙台に住む外国人が増加している一方で、当社には英語ができる社員が豊富とはいえず、十分な対応が難しい状況です。そこで、外国人材のマッチング支援を行うワークイン宮城に参加し、3名の台湾人を採用しました。3名とも英語と日本語が堪能なので、社員とのコミュニケーションも問題ありません。将来的にはお客様とコミュニケーションを取る営業や窓口業務を担ってもらい、幅広い顧客ニーズに応えていくことで、企業の成長につなげていきたいです。

佐藤さん/社員としても外国人の採用はウエルカムです。一緒に働けることを楽しみにしていますし、私も勉強させていただきたいと思っています。

―仙台「四方よし」企業表彰の優秀賞を受賞し、ダイバーシティ経営を進める企業として、今後の意気込みをお聞かせください。

渡部社長/四方よしの4要素のうち「働き手よし」は、素晴らしい考えだと感じています。これからは、どの企業にも従業員を大切にする文化が醸成されていくはずです。受賞した企業の責任として働き手よしをさらに追求し、期待を超える明るい未来につなげたいですね。そして、ダイバーシティ経営はどの会社でもできるということを、私たちがモデルとなって示したいと思います。

佐藤さん/今回の受賞で、自分たちの仕事や活動が会社の功績に結び付き、地域社会にも良い影響を与えることを自覚し自信になりました。私自身も会社と地域を動かす一員だと意識して、引き続き取り組みたいと思います。

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業種
不動産業・建設業
住所
宮城県仙台市泉区泉中央2-13-3
TEL
022-373-0001(代表)
HP

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