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企業の成長を支える“リーダーの右腕”に光を当てる本連載。
第1回では、株式会社アフターリクルーティング代表・池谷昌之さんに「No.2理論」やその役割の本質について伺いました。(記事はこちら)
今回は、食品軽包装資材卸売業の国内トップを走る専門商社・株式会社高速(宮城県仙台市)の取締役・常務執行役員であり、社長室長兼経理部長を務める三田村 崇さんに、ご自身の役割と実績などについて伺いました。
業界唯一の上場企業として成長を続ける同社。その背景には、2代目社長・赫 裕規氏のリーダーシップと、それを支える役員陣の存在があります。
本記事では、第1弾で紹介したNo.2の3つの機能
①経営者の“代弁者”
②“補完者”としての機能
③“橋渡し役”としての信頼
に基づいて、三田村さんの役割とその実践について伺いました。
―2014年に入社されたそうですが、なぜ高速を選ばれたのですか。社長室長、常務になった経緯も教えてください。
以前は、東京で監査法人や財務サービス企業、車部品の製造会社などに勤めていましたが、東日本大震災をきっかけにUターンを考えました。その際、転職エージェントに高速を紹介され、自分の経験が生かせる職場だと感じて入社を決めたんです。上場企業であることも大きな理由でした。
入社当時の肩書は経理の課長補佐です。その後、システム部次長や経理部部長を経て、2021年に社長室長、2022年に常務と取締役になりました。
―現在の業務内容をお聞かせください。入社当初に描いていたものと、現在の業務でギャップは感じますか。
経理部長の頃からIR資料作りなどもしていたので、その点は社長室長になっても大きく変わりませんが、それに加え、中期計画の策定や経理関係、上場企業に義務付けられている情報開示のチェックなど、何でもやります。協賛業務では、ベガルタ仙台の試合があれば、車に荷物を積んで現地に赴き、撤収もしますよ。
ギャップを感じることは特にありません。これまで経験したどの職場でも、「会社に足りないところをどうにかする」というスタンスで仕事をしてきました。入社したときも、やれることが多く伸びしろのある会社だと感じて、それを順番に解決しようと考えていたんです。その成果の一つが電子化。前職の経験を生かし、基幹システムの入れ替えを機に10年かけてDX化を進めました。

―企業の成長や、世の中の変化に対応するには、常に進化し続けなくてはいけません。そこを担当してきたわけですね。
組織は変化していくべきだと考えています。電子化を進める中で反発もありましたが、各営業所にきちんと説明し理解してもらいました。今は、従業員も新しいことを始めるのに慣れて、変化を受け入れる社風ができています。とはいえ、その進化も社長の意に沿ったものでなければいけません。入社当時も今も、自分の仕事は社長を支えることだと思っています。というのも、社長が2代目に就任したのは、私が入社した2014年。先代がカリスマ経営者だったので、就任当時はプレッシャーが大きかったはずです。当初、社員への話し方もどこか不安げでしたが、回を重ねるごとにメッセージの出し方が変わり、その姿を見て「大きくなっていく社長を近くで支えたい」と思いました。今もそれが原動力です。
―社長とはどのようにコミュニケーションを取っていますか。また、社長の思いやビジョンを従業員に浸透させる際は、何を意識していますか。
週に1~2回、まとまった時間をつくり、現状報告や社長の要望などを対面ですり合わせています。社長の思いは何度も聞いているので、今どういうベクトルで何を考えているのかは推測できますが、対面で報告・修正を行う時間は大切です。
毎年従業員アンケートを行っていますが、この数年、「社長のメッセージが伝わっている」と答える人の割合が突出して高いんです。それは、社長が従業員に直接メッセージを伝えているから。社長は従業員とコミュニケーションを取ることが好きなので、各支社の決起大会や懇親会で思いを発信しています。さらに、年2回の賞与支給の際は、社長のメッセージ動画を配信しているんです。
社長は就任当初から、会社をボトムアップの組織にしたいと話していました。どうすればそれが実現できるかを考える中で、メッセージ動画の発信を始めるなど、会社の風土を変える仕掛けをしています。
―上場企業ともなると、各部署の領分に踏み込むのは難しいと思いますが、ときにはそれを超えて経営を支えていると感じます。三田村さんは、社長から何を期待されていると思われますか。
当社は上場企業ですが、まだ成長中なので、各部署の長が領域を超えて何かを変えなければいけない場面も多々あります。私自身は何度か転職を経験しているので、そのあたりの立ち回りが得意なんです。いつもどこか外部の人のようなポジショニングで、客観性を持って話すようにしています。
社長からの期待に関しては、社内の縦と横を連結させる役割でしょうか。役員の中で一番若いこともあり、ほかの従業員も役員も、私に「気を許してくれる」んです。会社に対して思っていることを気軽に話してくれます。だからといって、聞いた話は口外しません。経営と現場の両方を知る自分が「落としどころ」を探り、施策として上層部に伝えています。例えば、A案とB案が上がってきたら、どちらかを選ぶのではなく、より良いC案を作るイメージです。
―プロデューサーのような役割でもありますね。経営を支える立場として、どういうところにやりがいや達成感がありますか。
仕事にはある意味「エゴ」が必要だと思うので、A案・B案があってC案になったとしても、そこに自分の考えは入れたいですし、意図通りに物事が動くと「よし!」という気持ちになります。ただ、私の仕事は他人の領域に入ることが多く、入ったからには結果を出さなければいけないので、プレッシャーもあります。その分、結果を出せば信頼が付いてきて、さらに領域を広げることができますから、そこがやりがいです。

―三田村さんのほかにも社長を支える存在がいるそうですね。皆さんとはどうコミュニケーションを取っていますか。
代表である会長、社長以外では、5人の役員がいます。5人の役員のうち、3人は営業を担っており、人事を担う役員と私の2名でコーポレート全般を担っています。全員が揃うのは月1回の経営会議。営業トップと私は、それとは別に毎月対話の時間を設け、お互いの考えを調整しています。
実は、個性的なこの5人をうまくコントロールしているのは社長なんです。2代目として大きなプレッシャーを背負いながら、しっかり結果を出している社長は、私の上を行く落としどころのプレイヤー。社長を中心にいい関係性ができています。
―今後の挑戦、展開を教えてください。
今は成長を続ける当社ですが、取り巻く環境は厳しくなるはずです。食品に関する商材を扱っていますし、メインのお客様がスーパーマーケットですから、特に人口減少は大きなリスクです。そのため会社の事業領域を広げなければいけません。それは社長も従業員に発信し、新たなチャレンジもしています。私が手掛けているのはリサイクルビジネス。環境に対応し経済合理性もある仕組みを作り、ビジネスとして軌道に乗せたス。環境に対応し経済合理性もある仕組みを作り、ビジネスとして軌道に乗せたいですね。

三田村さんは、社長の思いを受け止めつつ、現場の声を吸い上げる“経営の調整役”としてご活躍しており、まさに経営の「潤滑油」だと感じました。前職での経験や、それ以前の若い頃のバンド活動など、あらゆる経験が今に活きているともおっしゃっていました。様々な経験を経てきたからこその俯瞰力というのも、企業が新たな仕組みを生み出す時の推進力になります。また、現在のポジションに至るまでに様々な役職を務め、現場も上層部も深く見てきたという点も、三田村さんが潤滑油になれる所以だと感じました。