
精神障害、発達障害、身体障害、知的障害、指定難病など、さまざまな「働きづらさ」を持つ方を対象に、就労移行支援と就労定着支援事業を展開する株式会社チャレンジドジャパン。働く意欲のある障がい者のサポートに加え、人材を受け入れる企業への支援も強化しています。私たちがめざすのは、一人ひとりが役割を持って働くことのできる仕組みと、従来の福祉サービスの枠組みにとらわれない事業モデル「脱・公費」の構築です。障がい者の就労を入り口に、社内のノウハウを社会のナレッジとしながら、日本経済の活性化を見据えています。
INDEX
チャレンジドジャパンの事業の原点は、私が学生時代に就労継続支援B型事業所(※1)でアルバイトをした経験にあります。そこで、一般企業で働ける可能性を持ちながらB型事業所に通う人が少なくない現状に疑問を感じました。
そもそもB型事業所のような福祉的就労の場合、施設に税金から支援費が支払われるため、仕事の質が施設や利用者の将来に影響することはありません。つまり、福祉的就労の支援は、一般的な就労における「その人が役割を持ち、認められ、喜ばれることで、さらに価値のある人的資源として社会に貢献する」という基本条件を棚上げすることで継続できている状況に、私は常に疑問を抱いていました。
そこで、一般企業での就労を希望する障がい者のみなさんを対象に、仕事のスキル習得やマインドセットを支援する「障害者就労移行支援事業」と、就労後の定着を支援する「障害者就労定着支援事業」を興しました。
事業を通じて、一般就労の難しさは、障がい者自身だけでなく支援側にも問題があると気づきました。重要なのは、できないことではなく、その人ができることを見出し役割を持って認め合えるようサポートすることです。これが、雇用する企業を対象とするコンサルティング部門の立ち上げにつながりました。
私が掲げる「脱・公費(※2)」は、「障がい者の就労・雇用=公費」という見えない枠組みに一石を投じる目標です。その「働きづらさ」を解消し、企業で誰もが戦力となれる仕組みが循環しさえすれば、公費を必要としません。障がい者雇用が公的支援から脱却してこそ、新しい価値が生まれ、社会全体の利益につながります。この「脱・公費」の事業モデルを仙台から全国へと広げていきたいと考えています。
※1:就労継続支援B型施設とは、就労継続支援A型施設での就労が困難な人が、自身の障害や体調に合わせて福祉的就労をする、いわゆる福祉作業所のこと。就労継続支援A型施設とは、企業と雇用契約を結び、最低賃金以上の給与を得ながら就労する福祉作業所のこと
※2:現在、障がい者を雇用するごとに企業と就労移行支援事業所に給付金・助成金として公費が支払われています。

チャレンジドジャパンの事業は、障害のある方個人への支援と企業コンサルティングの二本柱で展開しています。
個人支援では、働く意欲のある方の働きづらさを把握した上で、仕事上のスキルはもちろん、体調管理の方法やビジネスマナーを含めて習得できるプログラムを用意しています。自身は配慮される立場であると同時に、一社会人として周囲に配慮する側でもあると正しく理解してもらうことも大切にし、個人の希望や地域事情に即した求人先を開拓していきます。
一方の企業コンサルティングは、障害のある方との向き合い方や障害特性に応じた業務選定をサポートしています。ほとんどの企業は「どんな仕事をしてもらったらいいか」という業務選定に悩みを抱えており、その鍵は、属人化された仕事をいかに標準化するかということです。
例えば、ある社員の業務に含まれる簡単なルーチンワークを他の社員に振り分ける業務の切り出しは、元の社員の生産性を高め、企業の売上増と支出削減(残業代減)に直結します。多くの企業がこの効率化の可能性に気づいていない、またはノウハウを持っていません。
そこで私たちは、個々の担当業務に深く入り込み、その人しか把握していない部分も掘り起こしながら細分化し、誰でもできる業務を切り出していきます。障がい者が活躍できる業務を見出して働きやすい環境を作ることは、専門的なコンサルティングによってのみ実現できると考えています。

「脱・公費」に向けた重要な試みの一つとして、グループ法人が運営する「ソーシャルファーム大崎」で障がい者を直接雇用しています。
学生時代に私がアルバイトした就労継続支援B型事業所が、後にグループ法人「チャレンジドらいふ」の運営施設となりました。障害者自立支援法制定後、利用者と事業所の契約制度への移行を機に経営を引き継ぎ、公費に頼らない一般事業所へと舵を切りました。
「ソーシャルファーム大崎」は水耕栽培による葉菜などの植物工場です。かつてのB型事業所の利用者と支援者が共に職員として働いています。生産も安定しており、商品を競争市場に出荷して、職員は消費者からの評価や賃金といった報酬を手にしています。これは、「脱・公費」モデルの実践として大きな手応えとなっています。

私たちは、グループの直近期売上20億円を将来的に100億円まで伸ばすという目標を掲げております。そのための取組みの一つ目が、公費を活用した就労移行・定着支援。二つ目が、その知見を活かし、公費に頼らない「脱・公費」型の就労移行・定着支援。そして三つ目が、「脱・公費」モデルの実践である『ソーシャルファーム大崎』のような直接雇用事業です。この3つの事業を軸に売上を伸ばしていきたいと考えております。
そのためにも、仙台市地域中核企業輩出集中支援事業の伴走支援を活用し、これまで蓄積したデータの分析・類型化を進めることで、社員一人ひとりのノウハウを全社的ナレッジへと展開することを加速させたいと考えています。
「障がい者雇用にコストはかけられない」と考える企業は多いのですが、これは大きな誤解です。最初に適切なコストをかけて業務を切り出し、障害特性に合わせて業務をしっかり振り分けることができれば、事業の生産性向上につながり、未来への投資となります。この発想に転換してもらえるよう、企業への営業を強化し、首都圏をターゲットに全国展開へと広げていく方針です。現在、三菱UFJ銀行との新たなジョイントベンチャー構想も進んでいます。

現在、就労継続支援B型・A型事業所の通所者約68万人に対し、年間8000億円もの公費が投下されています。この半数が一般事業所で就労できれば、浮いた福祉予算を重度な障害を持つ方への支援に手厚く使え、さらに納税者が増えれば国の税収も増えることにもつながります。
障がい者雇用は、日本経済が回る切り口のひとつになるでしょう。いま福祉サービスを受ける側の人自身が、国力にもなり得るのです。
企業情報
株式会社チャレンジドジャパン
| 業種 | 医療・福祉・介護事業
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|---|---|
| 住所 | 仙台市宮城野区榴岡1-1-1 JR仙台イーストゲートビル6F |
| TEL | 022-385-5778(代) |
| HP |
キーワード: 医療・福祉・介護事業 地域貢献 人材 職場環境の整備